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ルイ・ヴィトンのメンズフレグランス コレクション

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公式HPより

 

 

ルイ・ヴィトンのフレグランスについて

2018年5月31日、ルイ・ヴィトン初のメンズフレグランスコレクション(LES PARFUMS LOUIS VUITTON FOR MEN)が一挙に5作品発売され、現在までに7作品がラインナップされている。

この7作品を見渡してみると、男性にとってあらゆるシーンが網羅された、とてもバランスの良いコレクションになっていると感じる。

 

そもそもヴィトンのフレグランスは決して安くない(税込み38,500円)。

それでも、ヴィトンが取り扱うアイテムのなかで、フレグランスがもっともコストパフォーマンスが高いのではないだろうか。

というのは、ヴィトンのフレグランスは一部の直営店のみの取り扱いであり、通常は店頭で接客を受けてから購入する(オンライン除く)。取り扱い店舗にはフレグランス専門のスペシャリストがいて、そのスペシャリスの方から、香りの提案、香りにまつわるストーリーや、厳選された原料などを説明を受け、最終的には豊富なコレクションのなかから、今の自分に相応しい香りを提案してくれる。

 

つまり、製品の素晴らしさはもちろんのこと、超一流の接客に至るまで、そのすべてがヴィトンクオリティのため、価格以上の価値を実感できると思う。

例えば、私のように年に2~3本のフレグランスしか買わない客であっても、とても大切にしてくれる。

もし、何かフレグランスを探しているのであれば、まずヴィトンへ行き、そしてスペシャリストの方にコーディネートしてもらうことをおすすめしたい。

 

では、ヴィトンが提案するメンズの香りとはどんな香りなのだろうか。

 

リマンシテ

リマンシテは、男の強さを象徴する香り。

スプレーした瞬間から、爽やかさ、逞しさ、エネルギーが伝わってくる。

いわゆる男性のスポーツ系フレグランスの定番、マリンを効かせたアロマティックフゼアを、フレッシュなグレープフルーツや、ピリッと硬いジンジャーなどのスパイスや、ハーバルなローズマリーで覆った、かなりムキムキでマッチョな香りだと思う。

そんな筋肉隆々の香りの筋肉部分は決して人工的ではなく、とてもナチュラルなため、どこか品の良さを感じる。

季節を選ばずに、オン・オフともに使え、内から漲る力強さを醸し出す香り。

ただし、オンタイムでは主張が強すぎるため、下半身に付けることで、その強さをさりげなく香らせるのが良いと思う。

 

ヌーボーモンド

ヌーボーモンドは、どこかミステリアスな色気が備わった男の香り。

エキゾチックなスパイシーローズを立たせながら、ココアのビター甘さがどこかセクシーな華を添える。でも、奥からは重厚なウードやレザーの大人らしい深みが漂う。

ヌーボーモンドの骨格となる素材は、その香りに魅せられたジャック・キャヴァリエが、山ごと買い取って抽出したバングラデシュ産のウードオイルで、ウードそのものの素晴らしさが、まさにヴィトンクオリティだと感じる。

このヌーボーモンドでは、自慢のウード素材が持つミステリアスな側面をローズで着飾りつつ、ウードの深みの部分はココアで色っぽいアクセントを付けている。

それでもウードの存在感が強い、秋冬に似合う香り。落ち着いた佇まいから、フワッと香り立つ華やかな色気は、夜のデートにとても似合う。

 

オラージュ

オラージュは、シンプルと意外性が共存する香り。

オラージュの香りの流れはとてもシンプルで、ベルガモット→アイリス→ベチバー→パチョリの順で香っていく。それぞれの素材の確かさをしっかりと楽しみながら。

ところが、それぞれの香りが重なり合うことで、香りが表情を変えていくため、使っていて驚かされる。

特にアイリスの表情が多彩で、パウダリー、アーシー、ウッディなど、ナチュラル、柔らかさ、力強さ、なめらかさなど、洗練された男性的なアイリスの魅力を堪能できると感じる。

オラージュは春秋に似合う香りで、春であればエレガントに、秋であればスタイリッシュに演出してくれる。

そして何よりも、フレグランスの意外性に触れることで、フレグランスの深みにはまっていく導火線のような香り。

 

スールラルート

スールラルートは、当たり前の日常に小さな変化を与えてくれる香り。

スールラルートは、シトラスはマイルドで、グリーンはみずみずしく、レザーはとても淡く、個性に欠ける。せっかくフレグランスを着るのだから、もっともっと着飾りたい、そう思う。

でも、スールラルートはドレスのような香りとは立ち位置が異なる、何気ない日々に細やかな贅沢を与えてくれる存在ではないだろうか。小さな変化を日々積み重ねることで、大きな変化を掴むことができるように。

そういう意味でスールラルートは、夢に向かって進む、胸の高鳴りと共鳴するフレグランスであり、こういう人生の伴侶になるような、さりげないフレグランスを揃えていることが、ヴィトンの強みでもある。

 

オーアザール

オーアザールは、ありのままの自然体の香り。

鋭さと柔らかさ、冷たさと温かみ、そのどちらに転ぶか分からないような不安定さ。この肩ひじを張っていない自然さが、とても女性から好まれる。

石鹸のような清潔な香りが女性から好まれるとよく耳にする。確かに清潔な香りは嫌われることが少ないかもしれない。逆にギラギラした香りは、警戒心を呼び起こすリスクがある。

オーアザールは、ウッディのなかでもっとも柔らかいサンダルウッドを、ムスクやアンブレッドシードで白く、清潔に、そしてほんのり甘く着飾ることで、安牌な石鹸ムスクとは異なる、上質な安心感と清潔感を併せ持った香り。

さらにカルダモンの青っぽさが良いアクセントになっていて、どこか頼りない。この青さは、若い男性だからこそ許される特権ではと思っている。

 

メテオール

メテオールは、女性を惹きつける香り。

メテオールは、一昔前に流行ったアロマティックウッディを、明らかにリファインした香りだと思っている。私の世代にはとても懐かしく、若かりし頃を思い出す。

とはいえ、ファッションフレグランスのシルエットを残しながら、素材の輝きや、おしゃれな印象が際立ち、より洗練された風格が備わっている。

若々しいシトラスにピリッとシトラスを効かせた、男らしいオープニング。そんなフレッシュなシトラスに包まれたアロマティックウッディ。そこにネロリを差し込むことで、明るくおしゃれな印象が付加されている。いつかいでも、ジャック・キャヴァリエのネロリの使い方は素晴らしい。

まるで若い白人男性のようなモテオーラは、明らかに女性を意識した香りであり、実際、女性からの評判もとても良いと感じている。
  

イマジナシオン

イマジナシオンは、魔法の香り。

なぜなら、性別、年代、シーンを選ばない、パーフェクトな香りだから。とりあえず、イマジナシオンを浴びる。それだけで何だかワンランク、レベルが上がったような気持ちになる。

その理由は卓越したバランス感覚だと思う。フレッシュなシトラス、明るいフローラル、スパイシーのアクセント、スモーキーなティーなど、それらの素材を確かに感じながらも、飛び出すことがない。

そしてそれら素材を、アンバーが透明感やみずみずしさ、柔らかさなど表情を変えながら、柔軟にまとめあげている。使っていてストレスを感じない香り。

私たちは、コロナ、紛争、経済、人権など、過度の情報に侵され、心が疲れている。

イマジナシオンの少し冷たさを感じる、静寂なブルーの香りは、オーバーヒート気味の気持ちを静め、みずみずしくも清々しい心地良さに、ホッとする甘さ、包まれるような優しさと、どこか癒しを与えてくれる香り。

 

その他コレクションからのおすすめ

ヴィトンのフレグランスでは、メンズコレクションとは別に、レディース、コロン、オリエンタルがあり、各コレクションから特に男性におすすめの香りを1つずつ選んでみた。

 

クールバタン

クールバタンは、ラグジュアリーなフルーティフローラルの香り。

実はヴィトンのレディースコレクションは、男性でも違和感なく使えるような、性別を問わない香りが多い。逆に男性ではハードルが高いのではという香りは、アトラップレーヴウールダプサンスくらいかもしれない。

クールバタンは、みずみずしくも爽やかな洋梨(ペア)と、官能的なホワイトフローラルの香りで、特にジャスミンやイランイランはとても女性的でセクシーだと思う。

ところが、ベースのパチョリはかなりアロマティックな色気が強く、またオークモスもクールで、男性的な雰囲気をしっかり感じることができる。そのパチョリがフルーティフローラルを落ち着きのある静かな印象に導いている。

つまり、ラグジュアリーでクールなフルーティフローラルを、女性だけが使うのなんてもったいないと感じてしまう香り。

 

アフターヌーンスイム

アフターヌーンスイムは、スプレーした瞬間、西海岸にワープする香り。

コロンコレクションは、香りの素晴らしさもさることながら、全作品がカリフォルニア在住のアーティストのアレックス・イスラエルとコラボレーションされているため、ボトル・化粧箱・ショッパーに至るまで、その世界観で統一されている。

アフターヌーンスイムをスプレーした瞬間、まるで燦々とした太陽の下で、海に飛び込んだときの波飛沫を思わせるような香りに包まれる。さらには、海水を浴びた肌が太陽の熱で温められていく様や、火照った肌が少しずつクールダウンしていく過程までもが感じ取れる。これほどまで海に溶け込んでいる香りは他にないのかもしれない。

このアフターヌーンスイムには天然のアンバーグリスが使われているという。

シンプルなコロンを装った、希少で贅沢な香り。ヴィトンのフレグランスに対する強いこだわりが感じ取れる作品だと思う。

 

ニュイドフ

ニュイドフは、多くを語らない、男性の魅力を表現した香り。

オリエンタルコレクションは、中東における伝統的な素材ウードへのオマージュであり、ウードが持つ多様な側面を表現した香り。

なかでもこのニュイドゥフは、ウードの静寂さ、神秘性をフォーカスすることで、まるで呼吸するかのように、付ける部位、気候によって香り立ちが変わる。

木々の焦げ感や深み、レザーの柔らかさ、樹脂の酸味、さらにはチョコレートにも似た甘さなどが、その時々によって、ふと存在感を示す。

ニュドフは夜の静寂に包まれた砂漠を照らす焚き火をイメージした香りとしている。おそらく、砂漠の夜は暗黒の世界で、すぐ隣も真っ暗で見えないのでは。

暗闇のなか、その姿は見えないけれど、見守ってくれている安心感や、寄り添ってくれているぬくもりは確かに感じられる。

言葉にしなくても伝わってくる男らしさ。ニュイドフはそんな香りではと思う。

 

 

ヴィトンの香りが愛される理由

改めて10作品を眺めてみると、エッジを効かせた個性的な香りが少ないことに気づく。それこそ、キャラの立った香りはリマンシテのみではと感じる。

 

ヴィトンのフレグランスは、個性の強さや、複雑さ、豪華さ、香りの強度に重きを置いているのでなく、シンプルさ、繊細な素材の呼吸、透明感、肌なじみ、疲れないなど、あくまでヴィトンのバッグやファッションのサポート役に徹しているように思える。まるでフレグランス自身が主役なのではなく、そのフレグランスをまとった人に寄り添い、引き立てているように。

だからこそ、ヴィトンの香りは多くの日本人に受け入れられているのではないだろうか。現に香水砂漠といわれる日本のマーケットでも、ヴィトンは大成功を収めている。

 

そして、ヴィトンのフレグランスのテーマは「旅」だ。旅には多くの荷物を持っていけない。もし、フレグランスを持っていくとしたら、お気に入りかつ使いやすい香りだと思う。

ヴィトンのフレグランスには、お気に入りとして選ばれるような、素材のこだわりや、外すことない確実さが備わっている。

 

決して主役にならない香り立ち。随所からほとばしる香りの確かさ。ヴィトンのフレグランスが多くの人から愛される理由はここにあるのではと感じている。