MAISON MARGIELA
REPLICA SPRINGTIME IN A PARK(2019年)
調香師:ジャック・キャヴァリエ
おすすめ度:★★☆☆☆
画像:公式HP
レイジー サンデー モーニングが人気のメゾン マルジェラ レプリカ コレクション。
レプリカのコンセプトは香りの記憶。それぞれのシーンを再現した香りが人々の潜在意識に語りかける。ラベルには、その香りの思い出のシーンが記されている。
このスプリングタイム イン ア パークは、2019年上海。春の訪れを感じる午後。国際都市・上海の一角にある公園では、光を浴びた植物が一斉につぼみを開き始めている。季節が春へと移る瞬間、自然が残していく繊細で活き活きとした余韻を再現したとしている。
トップはフルーティ・グリーン。
スプレーすると、爽やかなレモンやみずみずしいベルガモットに誘われて、硬めのペアのうっすらとした甘さ。そこにカシスの青みや冷たさを添えた香り。
ミドルはフローラル・フルーティ。
ペアの甘さよりもシャーベットのような冷たさや硬さが増していくイメージ。奥からは明るく可愛らしいピンク色のローズや、メロンを含んだミュゲ、ジャスミンのインドール甘さが、時間と共にフルーティと入れ替わっていくことで、フルーティのグリーン部分に包まれたフローラルの香りが広がっていく。
ベースはムスキー・アクアティック。
フローラルのアクアティックな残香とムスクが重なることで、パウダリー感が濃くなっていく。そんな粉っぽいムスクをアンブロクサンが滑らかに整えながらドライダウンしていく。
持続時間は3~4時間程度。
みずみずしいフルーティグリーンに包まれたフローラルブーケの香りが1時間くらいで、そこからアクアティックなフローラルムスキーの香りに変化していく。
春に似合う香り。ペアのみずみずしくも涼し気な甘さと、フローラルの青っぽさが蕾を連想させ、春をイメージさせている。
日本の高温多湿の夏だと、ベース部分のパウダリーな重く、暑さがこもってしまうため、あまり気持ちよく香らない印象がある。
フレッシュでみずみずしいフローラルフルーティの香り。フルーティが甘すぎず、フローラルやリネンのようにディフォルメされ、ムスクも清潔。まるで春のそよ風のような、とても使いやすい香りだと思う。
逆に言えば、まとめられすぎている香りのため、提示されているシーンが一向に思い浮かばない。上海の公園ではなく新宿御苑でも良いのではと感じるくらいに。
ネーミングやパッケージは素晴らしい。そして使いやすく、嫌われない香り。でも印象には残らない。
結果、もう少しキャラクターを付けてもよかったのでは思ってしまう。