THE DIFFERENT COMPANY
BERGAMOTE(2003年)
調香師:ジャン=クロード・エレナ
おすすめ度:★★★☆☆
(公式HPより)
名前は「ベルガモット」、以上。
これだけストレートなネーミングで、聞いただけでどんな香りか想像できるフレグランスを他に知らない。
そして名前のとおり、上質なベルガモットコロンの香り。
コロンといっても、今日のフレグランスの始祖とされる「ケルンの水」の流れを汲む4711や、その4711を現代的にアレンジしたオーデコロンとは似て非なる、ベルガモットをコロンにしたような香り。そういえばベルガモットのコロンは他に知らない、灯台下暗しのような存在だ。
そうシンプルに考えると、このザ ディファレント カンパニーのベルガモットは完璧だと感じる。なぜなら、このベルガモット最大の弱点、香りの薄さや持続性のなさが、ベルガモットのコロンと最初から分かっていれば気にならないから。
トップはシトラス・スパイシー。
少しフローラルの面影のある甘めのベルガモットに、鋭いジンジャーが主張することで、硬めの爽快感とみずみずしい甘さが合わさった、とても嗜好の良い香り。
ミドルはフローラル・グリーン。
爽快なジンジャーはすぐに減退すると、乾いたベルガモットが淡いアールグレイのように香る。同時に、少し青っぽいオレンジフラワーも淡く香るため、アールグレイとホワイトフローラルが同時に楽しめる。
いかにもジャン=クロード・エレナの作品に共通するような、それぞれの香りの境界線がはっきりしない、水彩画のような淡く儚いアールグレイの香り。これがとても心地よい。
ベースはムスキー。
その淡いアールグレイに、ルバーブの酸味と淡いムスクがやさしく包み込むように、いつの間に消えていく。
ベルガモットコロンのため、ミドルまでが30分程度、あとは淡いベルガモットとムスクがうっすらと香る。持続時間は持って2時間くらい。
正直、楽しめるのは最初の30分ちょいというところ。
ジャン=クロード・エレナの香りの特徴は、天然よりもむしろ厳選したケミカルをシンプルに組み合わせた作品が多く、良く言えば上品な軽さ、悪く言えばケミカル単品が見えすぎてしまっている作品も多い。
しかし、ベルガモットには、ベルガモットオイルをふんだんに使っているようで、公式通販サイトでは「高品質なベルガモットエッセンスを70%以上も使用とあり、良い意味でフレグランスらしくない、アロマオイルのような上品なベルガモットの香りを楽しむことができる。
複雑な香りを楽しみたい反面、心にも鼻にもダメージを与えない、シンプルで淡い香りも欲しくなる。
このベルガモットは、春から初夏にかけての休日の昼下がり、その素材の良さを楽しみながら、心と鼻をそっと癒してくれるような安らぎの香りのため、井貝と使用頻度の多い香りだと思う。
逆に平日だと、そもそも2時間しか持たないため、いつ使えば良いのか分かりづらかったけれど、在宅勤務の時に、ティーブレイクを楽しむように使ってみるのも良いかもしれない。
30分だけ、そよ風のようなベルガモットのみずみずしいを香りを楽しむ。そういう目的であれば、とてもおすすめの香りだと感じる。