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フレデリック マル:フレンチ ラバー

FREDERIC MALLE

FRANCH LOVER(2007年)

調香師:ピエール・ブルドン

おすすめ度:★★★★☆

 

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画像出典:三越伊勢丹オンラインストアmeeco

ゲランのあるフレグランススペシャリストの方が

「ゲランの香りは肌になじみ、肌に溶け込んでいく。マルの香りはアートとして肌に乗せる」

と話していた。さすが、とても的を得た表現だと思う。

 

フレデリック・マルのコンセプトは、エディション ドゥ パルファム(香りの出版社)として、12名の調香師たちと共に、至高の嗅覚の世界を創り上げることとしている。
マル自身は編集者として調香師たちに寄り添うのみで、あとは調香師たちに任せる。

そしてボトルには調香師の名前が刻まれた、まさに調香師の作品という位置づけ。

依頼主のオーダーに応えるという制約や、時間・原料・コスト等の一切の制限がなく、創造の限界が取り払われているため、当然、ぶっ飛んだ香りが多い。キャラクターが濃すぎて、肌につけることすら躊躇してしまう香りもあり、なかなか手を伸ばせずにいた。

 

しかし最近になってようやく理解してきた。マルの香りはアート作品として捉え、使いこなすことを考えるのではなく、その香りに惹かれる、憧れるのであれば、ただ身をゆだねてみる。

純粋に香りを着てみる。

マルの香りはそういう存在なのではないかと。

 

そしてせっかく男として生まれたのだから、こういう男性らしい香りを着てみたい。そう思うわせる香りが、このフレンチ ラバーだ。


トップはスパイシー・グリーン。

唐辛子を思わせる強いホットスパイシー、そしてウッディの要素が感じられる非常にメタリックなガルバナムグリーンの組み合わせ。ここまではっきりガルバナムを主張する香りは少ない。パンチの効いたオープニングだと思う。

 

ミドルはグリーン・ウッディ。

高音では強いスパイシーを香らせながら、ガルバナムのグリーンの部分をアンジェリカが、ウッディの部分をセダーウッドが、それぞれ厚みを持たせて引き継いでいくイメージ。このグリーンやスパイシーの爽快さと、ウッディの奥行きがとてもバランス良く、颯爽としつつも、とても男性的な深みのある香りに向かっていく。

 

ベースはウッディ・アーシー。

セダーウッドは、インセンスやベチバーさらに深み、硬さが増していくが、オークモスや、ホットスパイシーの残香もしっかり効いているため、キリッとした印象も忘れない。そこから、さらにインセンスやセダーウッドやサンダルウッドのビターなウッディ感が増していくが、ムスクを合わせることで、最後まで香りが暗く沈むことなくウッディの余韻に浸れる。

全体的に大きな変化はなく、爽快な香り出しから、徐々にウッディの深みが増して、落ち着きのある香りにまとまっていく。強度もあり、ウエスト周りに1プッシュでも十分で、6時間以上しっかり持続する。


カチッとしたアンジェリカやスパイシー、そしてウッディ、その中間にガルバナムを配置したシンプルな設計であるが、このバランスが秀逸で、知的だけれど硬派な男らしい香り。じじくさくなく、颯爽・精悍としたシルエット。

特にアンジェリカの使われ方が特徴的で、いわゆる森林系ウッディや、シトラス系ウッディ、ハーバル系ウッディ、マリン系ウッディなど、今までにない都会的なグリーン系ウッディの香りが創りあげられている。


季節を問わない香りで、いつ着ても颯爽とした男らしいスタイルに仕立ててくれる。

気温が上がらずでもジメジメした、使うフレグランスにも困ってしまう梅雨の時期の鬱蒼とした気候でも、バシッと決めてくれるような男の香り。