フレグランスアッセンブル

フレグランスの香りの詳細を解析するサイト

ザ ディファレント カンパニー:アル サハラ

THE DIFFERENT COMPANY

AL SAHRA(2020年)

調香師:エミリー・コッパーマン

おすすめ度:★★☆☆☆

f:id:captain_dora:20211203153553j:plain
f:id:captain_dora:20211203153605j:plain

画像:公式HPより

 

ザディファレントカンパニーのアルサハラの香りは難しい。どういうシーンに似合うのか、まったくイメージできない不思議な香り。それくらい、攻めた香りだと思う。
 
コンセプトは「金属と砂が出会う場所、風が砂丘をやさしく撫で、深い沈黙が岩だらけの砂漠の風景の奥深くに沈む。未知でありながら馴染みのある香り。輝きと柔らかさ。キスの余韻のような、ぞくぞくするひと時へと誘うフレグランス」とあり、もっと分からなくなる。
 
ピラミッドを見ていると、
トップはミネラルアコード、ソルトクリスタル、ホワイトバイオレット、
ミドルはピンクサンドバイオレット、マダガスカル産シナモン、アンバー、
ベースはインセンス、シスタスラブダナム、砂漠の風、パチュリ、サンダルウッド、
香調はミネラルオリエンタルの香りとある。
 
それでは具体的に香りを追いかけてみると、トップはスパイシー。
スプレーすると一瞬、サフランを思わせる無機的な鋭いスパイシーが香ってくる。背後には甘さを除いた、ウォータリーなラクトンが香ることで、このスパイシーの硬さが、確かに塩やミネラルを想起させるような香りに映る。
 
ミドルはフローラル・スパイシー。
ツーンとスパイシーソルティな香りを立たせつつ、みずみずしいユリのようなフローラルの香り。フローラル的な甘さがなく、ウォータリーというよりもミルキーなコクが強いフローラル感が、ユリやスパイシーの鋭さを引き立たせている。奥からバイオレットのメタリックな硬さやシナモンのクセを加えることで、この人工的なフローラルの白さや硬さが増していくようなイメージ。
 
ベースはウッディ・オリエンタル。
鼻先では先ほどまでの人工的な白いフローラル感をしっかり残したまま、ラブダナムのアニマリックな甘さや、インセンスの焦げたウッディ感が、人工的な印象に少しずつ砂漠のような深みを与えていく。フローラルの鋭さが減退していくと、フローラルのウォータリーな甘さ、ラブダナムのレザーを思わせる深み、ビターなウッディ感が徐々に重なり合っていく。最後はサンダルウッドを加えること、ウッディ・オリエンタルのような雰囲気を醸し出しながらドライダウンしていく。
 
この香りのテーマを挙げてみると、砂漠、金属、未知、そして懐かしさ。実際にかいでみると、砂のようなウッディやラブダナムの焦げ感、金属のようなミネラルやバイオレットの硬質感、全体を通して感じられる無機質な印象は未知の世界か?そして終着地はウッディオリエンタルの懐かしさ。香りはテーマをしっかり辿っている。

 

ザディファレントカンパニーは、真のラグジュアリーな香りを求めるため、ジャン・クロード・エレナが創り出したブランドで「最高品質の天然香料を駆使して、他にはないユニークでエレガントな香水を創ること」を目的としている。そのため、特別で前例のない洗練された物語や、無類でラディカルなフレグランスを輝きと美しさのユニバースで包み込む、アート作品のような魅力を放つ世界を表現しているとのこと。

なるほど、確かにフレグランスはアートと日常の間のような存在で、日常やトレンドに寄り添いすぎると陳腐化する。それでも、アートを追いすぎると、このアルサハラのように、ユニークな香りであるけど、ひれ伏すほどの圧倒的なパワーがあるわけでもなく、結果、いつ使えばいいか思い描けない香りになってしまうのは、どうかと思ってしまう。

私はニッチとかアートの独創性よりも、純粋に嗅覚が惚れてしまうような素晴らしい香りを求めていきたい。