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ペンハリガン:ザ リベンジ オブ レディ ブランシュ(ブランシュ夫人の復讐)

PENHALIGON'S PORTRAITS COLLECTION

THE REVENGE OF LADY BLANCHE(2016年)

調香師:ダフネ・ブジェ

おすすめ度:★★★★☆

f:id:captain_dora:20220210144837j:plain画像:公式HP

 

「ブランシュ夫人」は、その夫「ジョージ卿」、娘「ローズ公爵夫人」、娘の夫「ネルソン公爵」と合わせて、ポートレートコレクション第1弾として、2016年に発売された。

このブランシュ夫人のキャラクターはヒョウで、テーマは美しさと力・鋭さとしている。何よりも夫のジョージ卿の憂鬱に対して、ブランシュ夫人は復讐!?

 

トップはグリーン・フローラル。

スプレーすると、ガルバナムのキーンとしたアーシーなグリーンノートは鼻を刺す。少し遅れてヒヤシンスの涼し気なフローラル。

ヒヤシンスのみずみずしくも透明感のある美しさと、どこかカチッとしたグリーンの硬さがどこかクラシカルで、まるで上流階級のような雰囲気を醸し出すようなオープニング。

 

ミドルはフローラル・グリーン。

そんな美しいヒヤシンスグリーンを立たせることで、奥からナルシスのコクのある甘さの鮮やかさを増して感じられる。ガルバナムグリーンの高音の部分が収まっていくと、ガルバナムのアーシーな部分がヒヤシンスにナチュラル感を添え、ナルシスのコクのある甘さを融合していく。

パッと見は美しいグリーンフローラル、でも時折顔を見せるイランイランにも似たフローラルがとても魅惑的だ。さらにフローラルのコク甘さに、パウダリーなアイリスが深みを与えていく。

 

ベースはフローラル・パウダリー。

やがて、ヒヤシンスが落ち着き始めると、籠ったジャスミンのような濃厚な甘みが感じられ、実はこのフレグランスのフローラルはかなり官能的だったことに気づかされる。

でもバイオレットのような軽いパウダリーで、爽やかな花の香りを取り戻しつつ、一方ではラブダナムやベンゾインのようなバルサミックがフローラルの甘さや深みを加え、それらを柔らかいアイリスやムスクが、軽さと甘さをバランス良く包みながら香らせながら、ドライダウンしていく。

 

持続時間は4~5時間くらいで、軽いグリーンとフローラルのコク甘さの対比が、全体を通してそのまま続いていく。春に似合うグリーンフローラルの香りだと思う。

 

全体的な香り立ちは、凛としたフローラル。知的な美しさが伝わってくる。でも鼻を近づけると、むせ返すような女性らしい魅惑的な甘いフローラル立ち込める。

ブランシュ夫人はとても献身的で、絵に描いたような魅力的な女性です。しかし、一方で罪を犯すことも恐れません。社交的である反面、危険な女性であるとも言えるのです。シェイクスピアも警告しています、「ふられた女の恨みほど怖いものはない」と・・・(公式HPより)

 

実はジョージ卿には「クララ」(「秘密の女クララ(2017年)」)という愛人がいて、さらにはラドクリフ(「享楽的なラドクリフ(2017年)」)という隠し子までいる。賢いブランシュ夫人は当然その事実を知っていて、その復讐を果たそうとしている。夫の浮気を詰め寄るのではなく、知っていることをおくびにも出さない。そして、ジョージ卿も妻にバレていることに気づいている。

それは第2弾に繋がる伏線でもあり、ポートレートコレクションの世界観の面白さを感じ取れる。

 

ところで、ブランシュ夫人に使われているガルバナム、ヒヤシンス、ナルシス、アイリスなど、素材だけを眺めるとシャネルN°19を真っ先に思い浮かべる。実際に嗅ぎ比べてみると、N°19はかなりウッディ(ベチバー)が強く、あまり似ていない。浮気など絶対に許さない、強さと自立心がある。

むしろ同じシャネルであればベルレスピロの方が近いと思う。グリーンの鋭さよりも女性らしいフローラルの甘さを立たせ、レザリーな深みを抑えることで、より女性らしいエレガントな香りに仕上げられているように感じる。