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ザ ディファレント カンパニー:ニュイ マグネティック

THE DIFFERENT COMPANY

UNE NUIT MAGNETQUE(2014年)

調香師:クリスティーヌ・ナジェル

おすすめ度:★★★★☆f:id:captain_dora:20210927183857j:image

画像出典:公式HP

 

素晴らしいフルーティ・フローラルの香り。フルーティの香りはその表現方法が多彩な反面、安っぽく映ってしまう香りも多い。

ニュイマグネティックとは惹きつけあう夜の意で、セーヌ川のほとりで語り合う二人が、まるで磁石のように引き寄せられる魅惑の夜を表現した香り。

特にフルーティの香りが絶品で、一度はまってしまうともう後戻りできないような、磁力の強い作品だと思う。

 

トップはフルーティ・スパイシー。

スプレーすると、まずとてもクリアなジンジャーの硬い香りが鼻を刺す。少し遅れてブルーベリーのややアロマティックな甘さを、ハーバルグリーン強めのベルガモットのみずみずしさを与えていく。そこにベース部分のアンバーやパウダリーなバニラがうっすらと感じられるような、とてもオリジナリティ溢れる香り立ち。

特に乾燥の強い秋冬に使うと、ジンジャーのキリッとした香りが冷たい空気と調和しながらも、フルーティな甘さやみずみずしさを連れて来てくれるようだ。

 

ミドルはフルーティ・フローラル。

トップのブルーベリーとジンジャーの香りをしっかり残しつつ、プルーンの酸味が強くなることで、フレッシュフルーティな印象のまま、奥から華やかなチュベローズ、さらに静かなジャスミンのフローラルが、フルーティに奥行を与えていく。この輪郭がはっきりしたフルーティフローラルを、アンバーやバニラで角を取っていくようなイメージ。

 

ベースはバルサミック・アンバー。

フルーティの酸味や甘さを漂わせながら、ベンゾインが洋酒のような甘さを、そしてパチョリがアロマティック感を与えていく。さらにアンブロクサンやバニラやムスクが全体をやわらかく仕上げていきながらドライダウンしていく。

 

まるで洋酒を思わせるフレッシュなフルーティが、時間の経過とともに熟成していくように4時間くらい持続する。

 

甘酸っぱいフルーティ部分のみずみずしさや酸味を、かなり主張の強いジンジャーで強調させることで、フルーティのフレッシュ感を演出し、甘さを引き出したような香り。

そしてこのジンジャーが、秋冬の凛と張り詰めた空気と重なることで、フルーティの甘さに緊張感を与えてくれる。気持ちまでも引き締めるようなフルーティの香りはなかなかないのではと感じる。

逆にこのジンジャーが鼻に付いてしまうと、せっかくのフルーティが霞んでしまうくらいギリギリを攻めた、好き嫌いが分かれる香りだと思う。

 

酒をイメージさせるフレグランスは、芳醇な甘さや深み、もしくは弾けるような清涼感に特化した香りが多い。ところがニュイマグネティックは、ブルーベリーやプラムといった普段かぎなれない個性的なフルーティに、鋭さ、辛さ、新鮮さ、みずみずしさ甘さや深みだけでなく、若々しさ、辛さ、みずみずしさ甘さが感じられ、さらに肌の上で熟成していくような、唯一無二の香り。